2020年5月15日金曜日

サントラ「ケイン号の叛乱(The Caine Mutiny)(1954)」



ハーマン・ウォークの同名小説を基に軍法会議に掛けられた第2次大戦中の老朽掃海駆逐艦の乗組員を描いたドラマ。監督は、エドワード・ドミトリク。音楽は、マックス・スタイナー。この時代の作品は馴染みが無い物も多いのですが、本作の場合は一時期マイブームだった昔の映画を観よう大作戦中だった頃に「戦艦ポチョムキン」と共に観た記憶があり、でも音楽の印象はさほど無く、今回Intradaがアルバム化した事で、初めて聴くような感覚でいたのですが、テーマを聴いた瞬間に「あれ?コレ覚えてるぞ。」と言う感じになって、それ以降はなんかもう「へぇ」って感じに。正直、スタイナーって漠然と偉大な作曲家と言うイメージはあるんですが、個人的にはサントラを殆ど持っていない事もあって、どうもイメージが上手く掴めない人と言う枠にいて、本作がスタイナーにとってどう言う立ち居地なのかは分かりませんが、ココで聴けるのは「昔ながらの戦争物」と言うマーチのテーマ曲と愛のテーマのロマンティックなメロのアレンジが中心になっているオーソドックスな構成の音楽で、作品がイケイケの戦争物ではない事もあってか、テーマはただ勇壮でミリタリックと言うよりも円やかな印象で、愛のテーマも女性的と言うよりジェントルで優雅な方面のロマンティシズムが強く、如何にも人間ドラマな香りがするのが面白いなぁと(だからかヒューゴ・フリードホッファーエルマー・バーンスティーンを思い出した)。所謂「今」な格好良さや美しさとは違うんで、どう聴いても古臭さは拭えないんですが、何て言うのかな、こう古臭さと書くと悪い意味に聴こえがちだけど、これが「味」と思える位にスコアとしての聴き応えがふんだんな感じと言うのか、当時のリアルタイムな感じは当然知らないんだけど、当時を思い出すような感覚になると言うか、兎に角、惹き付けられたなぁと(テーマ以外の部分も印象的)。それとIntradaのHPの文章を読んだら本作のLPって凄いレアだったらしく、当時権利関係で回収・廃棄したため殆ど現存しないんだとか。アルバムとしては、全部のスコアに台詞や効果音が被さっていて、なぜか音楽の無い会議シーンがあったりする残念仕様らしいのですが、数千ドルの価値があるみたいな事が書いてあって(現在もそうなのかな?)、目が点になりました。そう言う意味では、このCD化は画期的だったのかもしれませんね。

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サントラは、Intradaからフルスコアにボーナスを収録したアルバムが限定生産で出ています(レーベル完売)。

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