2019年12月21日土曜日
サントラ「The Book Of Henry(2017)」
亡き長男が日記に書き残したとある作戦を母と弟が実行しようとするクライム・ドラマ。監督は、コリン・トレヴォロウ。音楽は、マイケル・ジアッキーノ。メジャーなジャンル物を手掛ける事が多いので、時々担当する小品の人間ドラマやコメディ、サスペンス系は興味をそそられる題材だったりするのですが、どれもCDでサントラが出る機会が無く、本作も公開時はダウンロードのみ。個人的には、どうも好きな作曲家や好きそうな音楽のサントラがダウンロードのみだと試聴すらしたくなくなる事が多いので、本作も当時ダウンロードでサンプルを聴いた後から完全に遮断し、全くのノータッチ状態。なので、今回初めて全体像を聴いたのですが、これが物語の流れを想起するのに一役も二役も買っていると言って問題のない取っ付き易い物で、陽光射すノスタルジー感とリリカルな躍動感を加えたテーマ曲から始まり、その後はテーマのアレンジで全体を纏め、軽快さ、不穏さ、哀しみ、緊張感をドラマに合わせながら含ませていき、要所要所では監督とのコラボ作である「ジュラシック・ワールド」を彷彿とさせる圧の強いダイナミックな楽曲も聴かせる事で、物語の動きを容易に感じ取る事が出来る音楽を聴かせてくれます。物語が進むにつれオーケストラル感が強くなっていく印象はありますが、室内音楽的な感覚と言うのか、クラシカルな風合いを感じられる部分も所々であり(ピアノ協奏曲みたいのもあるし)、そのためか何処と無く文芸作品的に感じられる側面がある感じもします。映画自体は興収・批評共に駄目だったらしく、トレヴォロウはこれが原因でSWEP9から降ろされたなんて言う話もありますが、音楽そのものはジアッキーノの確かな技術と上手さを感じされる良質な1作と言えるでしょう。因みに、本作は現状日本だとソフト・配信共に出ていないようです。
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サントラは、Quartetからダウンロード未収録の主題歌を追加したCDが限定1500枚で出ています。
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